いまebay輸出が盛り上がってきています。
eBay自体はここ数年、COVID-19の巣ごもり需要も終わり売上がピークアウトしてるような印象ですが、日本人セラー自体は増えているように感じます。
Twitterなどでは「eBayのコンサルティングしますよ~」といったツイートも頻繁に見かけるようになり、なんだか一昔前のAmazon.comからの輸入販売が盛り上がっていた時期を思い出します。
確かにeBayは非常に魅力的なプラットフォームですし、メイドインジャパンの商品はいまだ世界的に人気です。
でも、気軽によくわからない人のコンサルを受けるのはちょっと待ったほうがいいかもしれません。
特にそのコンサルが教える手法がいま流行りの「無在庫販売」だったら尚更です。
無在庫販売とは
無在庫販売とはその名の通り「在庫を持たずに販売」することで、購入されたらその後に商品を買い付ける販売手法のことです。
ドロップシッピングなどとも呼ばれています。
メリットは「少資本でスタートできる」ことで、また在庫を管理するスペースもあまり必要がないのでスタートアップにはおすすめの手法です。
しかし、無在庫販売には多数のデメリットも存在します。
無在庫販売のデメリット
このブログでは他の人が知り得ない、または深くは知らないようなディープな情報をお届けすることをメインに取り扱っているので、どこにでも書いてあるようなデメリットは箇条書きに留めておきます。
- 在庫切れによりキャンセルを強いられる場合がある
- 商品が手元にないので購入希望者の質問に答えられない
- 商品が購入されてから仕入れるので出荷までのスピードが遅い
- 商品知識がないので間違った商品を仕入れてしまうことも
などが基本的なデメリットとして挙げられるでしょう。
しかし、無在庫販売による本当のデメリットは上記以外にあります。
利益ゼロでも手元のキャッシュが増えていく仕組み
実は無在庫販売は利益率ゼロ(場合によっては利益率マイナス)でもキャッシュは積み上がっていきます。
まずはこの表をご覧ください。
月 | 売上 | 手数料 | 送料 | 仕入 |
1か月目 | 30 | 5.1 | 5.4 | 19.5 |
2か月目 | 50 | 8.5 | 9 | 32.5 |
3か月目 | 70 | 11.9 | 12.6 | 45.5 |
4か月目 | 100 | 17 | 18 | 65 |
5か月目 | 150 | 25.5 | 27 | 97.5 |
6か月目 | 200 | 34 | 36 | 130 |
どの月も手数料17%、送料18%、仕入率65%で計算しています。
(eBayでの手数料率・送料率は概ねこの程度になることが多いです)
経費率100%になるので当然利益はありません。またここでは消費税還付は計算に入れていません。
上の表だけではキャッシュが増えているように見えないので、今度は入出金(キャッシュフロー)をベースにした表をつくってみます。
月 | 入金 | 出金 | CF |
1か月目 | 24.9 | 0 | +24.9 |
2か月目 | 41.5 | 24.9 | + | 16.6
3か月目 | 58.1 | 41.5 | +16.6 |
4か月目 | 83 | 58.1 | + | 24.9
5か月目 | 124.5 | 83 | +41.5 |
6か月目 | 166 | 124.5 | + | 41.5
※CF : キャッシュフロー = お金の流れのこと
入金は当月の売上 – 手数料となります。
ebayは入金が非常に早く、Payoneerへは早いと翌日には振り込まれます(設定が必要です)。
そこから日本の銀行に移しても大体1~2営業日で振り込まれますので、eBayはキャッシュフローが非常に良いプラットフォームです。
対して出金は前月の送料と仕入になります。
ほとんどの方がクレジットカードで決済をすると思うので、これらの経費は後払いをすることになります。
大体のクレジットカードは当月使った分を翌月の設定した日に銀行口座から差し引かれます。
なんだかとても不思議ですね、利益率がゼロなのにお金が増えていっています。
しかも半年間でプラス166万円です。
後述しますが、これはコンサルが教えたくない無在庫販売の大きなデメリットです。
とてもこわい無在庫販売の落とし穴
なんだか現代の錬金術でも見ているような感じを受けさせてしまった方は、このあとの文章を読んできっとガッカリするでしょうが、ここからが一番伝えたいことなのでぜひ最後まで読んでみてください。
この「利益率がゼロでもお金が増えていく仕組み」ですが、これにはとてつもない落とし穴があります。
eBayではほかのプラットフォームには聞き馴染みのない「リミットアップ」という方式を採用しています。
最初のうちは出品できる数が抑えられていて、販売実績を積み重ねるごとに出品できる数が上がっていく仕組みのことです。
eBayは世界中にバイヤー(購入者)がいるため、国内のECとは比べ物にならないぐらいの需要があり、実際に売れていきます。
そのため、出品できる数が増えてくると必然的に売上も増えていきます。
ですから他のプラットフォームと違い、こと売上という項目に限定していえば「日に日に成長している」ように感じることができます。
そして、ほとんどの方(もちろん毎日頑張る必要がありますが)はある程度までは順調に売り上げを増やしていくことができます。
しかし、こんな夢のような状態はまもなく地獄へと突き落とされます。
天井を迎えた無在庫セラーは大変なことになる
さきほどお見せした2つの表は毎月順調に売上が増えていっています。
ですが、このような右肩上がりの売上はeBayではよくある光景で、毎日出品を重ねていけば誰もが達成できるレベルです。
しかし、こんなことは長く続きません。
たとえば、何らかの理由(利き腕を骨折した、強力なライバルが出現したなど)で7か月目以降は売上が落ちていったとします。
そこから悲惨な現実が待ち受けています。
さきほどの表の続きを、今度は7か月目以降は売上が落ちていくように作成してみました。
(売上・入金・出金・CFの項目にしています)
月 | 売上 | 入金 | 出金 | CF |
7か月目 | 200 | 166 | 166 | 0 |
8か月目 | 150 | 124.5 | 166 | -41.5 |
9か月目 | 120 | 99.6 | 124.5 | -24.9 |
10か月目 | 100 | 83 | 99.6 | -16.6 |
11か月目 | 80 | 66.4 | 83 | -16.6 |
12か月目 | 70 | 58.1 | 66.4 | -8.3 |
なんと7~12か月目でマイナス107.9万円です。
1~6か月目ではプラス166万円ですからトータルではプラスですが、おそらくこの166万円は事業拡大のためにとアルバイトさんを雇ったり、自分へのご褒美などで大半がどこかに消えてしまっているでしょう。
となると、実際にはプラマイゼロどころか、軽い気持ちでeBayを始めたのがきっかけで借金を作ってしまっている可能性すらあります。
1年間で1320万円もの売上を達成しているにもかかわらず、です。
もちろん、このあと消費税還付があるので実際にはもう少しダメージが緩和されるでしょうが、この頃には精神はボロボロ、ebayのことなんて考えたくなくなっていると思います。
なぜこんな重要なことをコンサルは教えないのか
ボクはこれまでにいくつかのeBayコンサルを受けたことがあり、そのすべてが無在庫販売を推奨していました。
しかし、そのすべてでキャッシュフローについて教わることはありませんでした。
でも利益率ゼロだからこんな状態なんでしょ?
もっと利益率が上がれば全然違うじゃん!
と思った方は、これまでお見せした表をご自身の利益率に合わせて作り直してみてください。
ダメージは緩和するものの、一気に崩れ去る様子をイメージできるはずです。
ボクはこのような事態に陥ってしまった方を数人知っています。
もっと早く気づいてあげればよかったと思いながらも、当時の自分では何もしてあげることができませんでした。
そしてこんなことになるリスクをなぜコンサルは教えないのか、これが今回の重要ポイントです。
それは「コンサルの仕事は受講してくれた方にたくさん売ってもらうことが大事」だからです。
だって「受講生が売上100万円達成!」って響き、とても良いでしょ?そういうことなんです。
一度でもコンサルを受けた方なら、売れないことに関してコンサルに相談をしたことがあると思います。
そのときに「これはちょっと価格設定が高すぎる。もう少し価格を下げたほうがいい。」などと言われたかもしれません。
確かにその通りな部分もありますが、もっと他のアプローチも教えてあげるべきです。
なによりそれで受講生にお金が残るのか、もっと真剣に考えてあげるべきです。
コンサルにお金を払うくらいなら仕入れすべき
もちろんコンサルにも良いところはあると思います。
ボクは知らないので紹介できませんが、この記事で触れていることなんてキックオフの段階で説明してるし(怒、なんてところもあるかもしれません。
でもボクはそんなコンサルを知らないので、
「コンサルにお金支払うぐらいならそのお金でいっぱい仕入れて利益ゼロで売ったほうがいい」
と声を大にして言いたいです。
利益ゼロなら面白いように売れますし、なんなら結果赤字でもいいんです。
赤字になったとしてもコンサルに支払う高額な金額よりもよっぽど安く済むし、手っ取り早くリミットアップできて、さらには様々な経験を得ることができます。
その後、慣れてきたら少しずつ利益率を改善していけばいいのです。
さらには「仕入れ代金を先払い」することで、上記のようなキャッシュフローに陥ることはありません。
今の時代、eBayのアカウントを作る方法や出品の仕方、販売後の出荷方法に至るまでGoogleで調べれば分かりますし、商品リサーチだって無料のYouTube動画で十分です。
ボク自身、コンサルを受ける前は「なんだか知らないけど魔法のような販売方法を教えてくれるのでは?」なんて幻想を抱いていましたが、実際そんなものはありません。
このブログではそういった事実をどんどん赤裸々にしていきますので、ぜひ他の記事も読んでみてくださいね。
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